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いい声・きれいな声とはどんな声?


こんにちは。ビートワン代表の金沢寿一です。 今回のテーマは、「いい声・きれいな声とはどんな声?」です。前回のコラムで、「ナレーターになるには必ずしもずば抜けていい声である必要はない」ことを述べました。ではそもそも、「いい声」とはどのような声を指すのでしょうか?

いい声・きれいな声とは?

声について「いい声」「きれいな声」などというのは、あくまで第三者が認識して感じることです。音声学などの学問領域ならともかく、表現という意味で「声」を考えるときには、数値化できる指標などを設定するのも難しいことです。

それでも、明らかに「いい声・きれいな声」、誰が聞いても美しい・心地よいと感じるであろう声というものがあります。私の俳協時代の先輩ナレーターの方でいえば、女性ならば前々回のコラムでも触れた中村啓子さん(NTTの時報など)、男性ならば故・城達也さん(「JET STREAM」など)といった方々が思い浮かびます。

こうした方々は、表現として個性を乗せる以前のベースの段階で絶対的な「いい声」の持ち主であると思います(もちろん、そのうえで素晴らしい表現をされるため、超一流のナレーターといえるのです)。

しかし、生まれながらにこのような声を持っている人はごくごく一部です。それでも、特徴のある声を表現力によって個性へと昇華し、超一流の仕事をされる方もまたいます。同じく私の先輩方でいえば、故・来宮良子さん(「演歌の花道」「たけしの本当は怖い家庭の医学」など)、中村正さん(「奥様は魔女」など)、羽佐間道夫さん(洋画吹き替え多数、近年は「news every.」特集など)、田中信夫さん(洋画吹き替え多数、「川口浩探検隊シリーズ」など)、小林清志さん(「ルパン三世」次元大介など)といった方々です。

例に挙げたのは、みな日本を代表するナレーターの方々です。「ナレーターになるには必ずしもずば抜けていい声である必要はない」とは、こうした方々を見てもわかることでしょう。私自身も「綺麗な声質」ではありませんが、こうした先輩方が身近にいたため、目指すべきポイントに気づくことができました。

「いい声」のように聞こえる声の「雑な音」とは?

居酒屋や電車の中、その他日常生活の中で聞こえる声の中には、「いい声」のように聞こえる声があります。しかしこれらの多くには、実は「雑な音」が含まれており、機械(マイク・録音機材)を通すとそれが表に出てきて、ダメになってしまいます。その理由の一つとして考えられるのが、「無駄に響かせている」ということです。「無駄に響かせる」とははいったい、どういうことなのでしょうか。

たとえば「さしすせそ」について考えてみましょう。さ行の音は「摩擦音」ですから、「sa」という発音をするときの母音「a」は、いわば「勝手についてくる」ように発音されるべきものです。しかし、「無駄に響かせ」ようとすると、これが強調されてしまいます。このような音を、私は「雑な音」と呼んでいます。このような音はニュアンスを乗せることができず、表現の邪魔になってしまうのです。雑な音を含む声は、「いい声」とは呼べません。

プロのナレーターは、もちろんこの種の問題をクリアしていますし、日常生活から自然にそのような発音をしています。だからこそ、プロのナレーターが数人集まって居酒屋で飲むような場合には問題が起こります。初めのうちは遠慮して静かに話しているのですが、だんだんお酒が回ってくると普通に発声してしまうのです。普通の発声が非常によく「通って」しまうのです。それが数人いるものですから、居酒屋じゅうに会話が響き渡ってしまった、ということがありました。ほとんど職業病のようなものですね。

次回は、「自分の声がどんな声なのか客観的に知るには?」というテーマでお話しします。

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